top of page

Quloud-RSDFTを用いて、SiCパワーデバイス中における界面での異常な電子局在化現象を発見





国立研究開発法人 産業技術総合研究所の吉岡先生と弊社の松下と岩田が共同で、SiC-MOSデバイスのデバイス動作時(ゲート電場が印加された時)において、MOS界面で生じる異常な電子状態の局在化現象を発見し、Applied Physics Letters 122, 222104 (2023) (https://doi.org/10.1063/5.0151547)で報告をいたしました。現在、SiCは、高温、高電圧などの厳しい環境下でも優れた性能を示すパワー半導体材料として注目されています。しかし、SiC/SiO2界面においては、チャネル伝導度が低下するという問題があり、その原因はこれまで不明でした。本研究では、Quloudの計算エンジンであるRSDFT(実空間密度汎関数理論)コードを用いた計算により、ゲート電場印加時の界面電子状態について詳細に調べました。


計算の結果、電場印加時のSiC (0001)/SiO2界面において電子キャリアの異常な局所化現象が観察されました。具体的には、SiC (0001) /SiO2界面で波動関数が界面近くの立方晶サイトに強く局在化していることがわかりました。驚くべきことに、電子キャリアの広がりが(通常、半導体科学において一般に用いられている)有効質量近似から予想されるよりも強い局在化が生じていること、具体的には界面の極近傍(5 Å未満)に分布していることを明らかにしました。このことは、SiC(0001)/SiO2界面においては、有効質量近似による解析が破綻していることを意味します。さらに、このような界面での局在化現象が生じると、電子キャリアの界面欠陥による散乱により敏感になることが予想されます。一方で、(11-20)などの無極性面においては、このような異常な局在化が生じないことも同時に明らかにしました。このことは実験的によく知られた、(0001) 面のチャネル伝導度が他の面((1120)など)に比べて特に低い理由と密接に関係していると考えられます。また、SiC(0001)面で有効質量近似が破綻している理由を調べたところ、結晶の[0001]方向に沿った長い構造周期性に由来していることを明らかにしました。本発見内容から、半導体基礎科学にとって重要な知見を得ることができました。



Comments


NEWS

bottom of page