Quemixでは、量子コンピュータを用いた確率的虚時間発展法の量子アルゴリズムを開発いたしました。また、この量子アルゴリズムの開発に成功したことにより、変分原理に依らない新しい量子化学計算手法の可能性を拓くことが出来ました。(https://arxiv.org/pdf/2111.12471.pdf)
虚時間発展法は、組合せ最適化や量子化学計算において優れたアルゴリズムとして昔から知られたアルゴリズムです。また、虚時間発展法は量子コンピュータの性能を引き出すポテンシャルを有しており、量子コンピュータ上においても大きな注目を集めるアルゴリズムとなっています。しかし、これまで提案されてきた量子コンピュータ上の虚時間発展法アルゴリズムでは、古典コンピュータとのハイブリッドアルゴリズムを使用する為、古典コンピュータ側による計算速度律速が課題でした。
この度、Quemixは量子コンピュータのみで虚時間発展を実行することができる、確率的虚時間発展法の開発に成功しました。計算を実行する際の必要となる量子補助ビット数を最小で実行することが出来ることを示しました。これにより、古典コンピュータによる律速を離れて虚時間発展法を実行できるようになり、量子コンピュータの性能をフルに引き出すことが出来るようになります。
この量子アルゴリズムの開発を成功したことによって、変分原理に立脚しない、新しい量子化学計算手法の可能性を示しました。今回の方法では、確率的虚時間発展法と第一量子化形式を採用した量子化学計算手法(FQE)であり、これまで提案されてきた量子化学計算手法よりも計算コストを大幅に減らすこと、かつ高精度な計算を実現できる可能性を示すことに初めて成功しました。
Quemixは、引き続き新しい量子アルゴリズムの開発と材料計算手法の開発を行なってまいります。
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